犬のしつけ方

犬の無駄吠え防止グッズは危険と隣り合わせ?

無駄吠え 防止グッズ

愛犬との暮らしは本来幸せなもののはずですが、中には昼夜問わずワンワンと大きな声で吠え続ける「無駄吠え」に、ほとほと困ってしまっている…なんていう方もいらっしゃるのでは?ご近所への配慮もあるでしょうし、人間のほうが精神的に参ってしまっては本当に辛いですよね。

そのような状況を改善するため、昨今様々な無駄吠え防止グッズが出回っています。けれど、そのような防止グッズは本当に犬にとって支障はないのでしょうか?気になる無駄吠えの防止グッズについてまとめてみました。

1. そもそも無駄吠えとは何か?

防止グッズのお話の前に、「無駄吠え」そのものについて考えてみましょう。

本来、犬は理由もなくただ吠えるということはありません。何か伝えたいことがあったり、犬種によっては狩猟犬など吠えることを仕事としていた本能が働きやすい場合もありますが、いずれにせよ自分のテリトリーや人間の家族を守ろうとして吠えるか、または自分のやりたいこと(ご飯が欲しい、トイレに行きたい、遊びたいなど)を通すために吠えるのです。

しかしながら、きちんと人間と犬とのパートナーシップ(主従関係)ができていて、よくしつけられている犬は、人間が困る程「無駄吠え」することはほとんどありません。自分の意思を通そうとするのも、テリトリーを守ろうとのも、犬が「この家族のリーダーは自分だ!」と思っているからです。

ともすれば危険性を伴うこともある無駄吠えの防止グッズについて考える前に、今一度、まずは根本的にしつけやパートナーシップを見直すことにエネルギーにもトライしてみてくださいね。

2. 無駄吠え防止グッズ その1 “スプレー”

それでは、ここからは実際にある無駄吠えの防止グッズで代表的なものをいくつかご紹介していきたいと思います。

無駄吠えのための防止グッズ、1つ目は犬用スプレーです。

犬はとても嗅覚の強い動物。人間の何倍も鼻が効くのは皆さんもよくご存知ですよね。そんな犬の特徴にフォーカスして、犬の苦手な匂いをシュッと犬に向けてスプレーするという防止グッズがあります。スプレーは大抵安価な価格で販売されていることが多いため、多種多様な防止グッズの中でも、手に取りやすいものだと言えます。

使い方は、犬が無駄吠えした瞬間にシュッとスプレーするだけ。もちろん顔にあまり直接かからないよう気をつけなくてはなりません。

犬はその匂いと、シュッとされたことに驚いて、吠えることから意識が逸れるというわけです。ちょっとスプレーするくらいなら、たいして問題もないのでは?と思う人もいるかもしれません。もちろんメーカーは安全性をうたって販売しています。

しかし、安価に手に入るということは、その程度の品質だということです。人間の生活用品でも何でも共通して言えることですが、品質が低いものを大量生産するからこそ、安く提供できるのですよね。

おまけに防止グッズのスプレーは、犬の苦手な匂いを化学的に製造している訳ですから、ケミカルな原料だらけのものがほとんどでしょう。

また、大型犬を除けばほとんどの犬は人間より体が小さいですから、人間にとって少量でも、犬にとっても同じということにはなりません。そのようなものを少しずつでも繰り返し使っていたら、例えすぐに反応が出なくても、犬の身体にはケミカルなものがどんどん溜まっていき、健康を損なう要因になる可能性だってゼロではありません。

そんなリスクのある防止グッズ、あなたは大切な愛犬に使いたいと思いますか?もし、自分が犬だったらどうでしょうか。または、もしそれが人間の子どもだったらどうでしょう。悪いことをしたらシュッ!…そのようなことが、できますか?

手に取りやすく実践しやすそうなものだからこそ、今一度、よくよく検討してみる必要があると思います。

3. 無駄吠え防止グッズ その2 “口輪”

2つ目の無駄吠え防止グッズは、口輪です。

口輪と言っても、昨今はアヒルの口の形になっていたり、思わず笑ってしまうような、かわいくて面白いデザインのものもいろいろと出回っていますね。

けれど、楽しい気持ちになるのはおそらく人間側だけではないでしょうか。

ご自分が犬だったら、どうでしょう?無駄吠えがうるさいからといって、口輪をされる。身動きが取りづらく、苦しいかもしれません。また、精神的な面ではどんな気分になるでしょう?ハッピーな気持ちでいられるでしょうか?

犬は、苦しくても、嫌な気持ちでも、それを人間の言葉で伝えることはできません。自分の辛さを全く伝えられなかったら、分かってもらえなかったら、あなたならどんな気持ちになりますか?こうお伝えすると、大抵の方は、いくら無駄吠えがひどいからとはいえ、愛犬に対して口輪をするという選択肢は薄まるでしょう。

もちろん、無駄吠えを治すトレーニングをしている期間に、他人や他の犬に迷惑をかけてしまうときなど一時的に口輪をせざるをえない場面はあるかもしれません。スプレーや他の無駄吠え防止グッズに比べたら、その瞬間の健康被害は少ないかもしれません。けれど、あくまでもそれは一時的な対処法でしかありません。

また、一度嫌な感覚を覚えたら、2回目からは嫌がる犬も多いかもしれません。(誰だって嫌なことはしたくないですから、当たり前の反応ですよね…)それを無理に続ければ、たとえ身体的にはなにもなくても、精神的に参ってしまう子もいるかもしれないですよね。

口輪は防止グッズとしてはやりやすいかもしれませんが、こうして考えてみると、人間にとっても犬にとっても良い方法とは言いにくいのではないでしょうか。

4. 無駄吠え防止グッズ その3 “低/高周波・超音波”

無駄吠えのための防止グッズ、3つ目は周波数や超音波を使ったものです。

このタイプの防止グッズは、お値段もある程度かかるものが多いです。本格的なタイプの無駄吠え防止グッズと言えますね。この世に存在する音域の中には、人間の耳には聞こえないけれど、犬には感じとれる周波数(音の高さ)のものがあります。この無駄吠え防止グッズはその特徴に対して作られたものです。

その多くは、犬が無駄吠えしたタイミングで人間がスイッチを押すものや、首輪にそのシステムが内蔵されており、犬が吠えたら声帯の振動をキャッチするなどして、犬の嫌がる周波数の音が出る仕組みになっています。

この防止グッズも、一見身体的な影響は少ないかにみえます。おまけに人間は何も感じないのですから、これだけ人間にとって快適で便利な防止グッズはありませんね。他のタイプのものに比べて、人間側が罪悪感を感じにくいという点が、かえってこの防止グッズの恐ろしい点だと感じます。

例えば黒板を引っ掻いた音が苦手な人、結構多いですよね。他にも、耳鳴りのような音など、人間でも不快になる音というのはいろいろあります。

犬も、たとえ少しの間とはいえ、自分の苦手な音が鳴るのはストレスが溜まっていきますよね。おまけに、犬にとってどれくらい辛い音なのか、私たちは科学的に予測はできても、ハッキリとそれを知ることはできません。犬も1匹1匹個性が違い、好きなものや苦手なものが異なるように、音に関しても苦手なレベルは異なる可能性があります。

前述したように、犬は言葉で気持ちを伝えられません。ましてやどれくらいの負担なのかこちらで分からないようなものを愛犬に対して使うというのは、非常にリスクがあるのではないでしょうか。もちろん、嫌な思いをしたくないから、無駄吠えはやめるかもしれません。けれど、吠えることと引き換えに、知らず知らずのうちに犬に大きなストレスが溜まっていくかもしれないのです。

5. 無駄吠え防止グッズ その4 “電流首輪”

最後にご紹介する無駄吠え防止グッズは、電流が流れる首輪です。

初めて聞いたときは、まさかそんなひどいことを!と正直思ってしまいました。同じように驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、インターネットなどで検索すると、他の防止グッズと同じく、メーカーは言葉巧みに安全性を伝えてきます。電流と言っても極微量であり、痛みなど感じるレベルではない、犬に害はないと。

確かに、あまりにも毎日吠えまくる愛犬に悩み、もはや共に暮らし続けることすら諦めてしまいたくなったり、ノイローゼになるほど追い詰められてしまった場合、このような無駄吠え防止グッズに頼らざるを得ない状況もあるかもしれません。防止グッズを手に取る人間側にも計り知れない辛さや葛藤がきっとあることでしょう。

しかし、今回なぜこの防止グッズを最後にお伝えしたかというと、他の防止グッズに比べ、大変危険性が高いと感じるからです…!

犬猫をはじめとするペットに対しての考えは、世界の中でもヨーロッパ諸国が特に進んでおり、比べて日本は先進国の中でも“ペット後進国”と言われています。

そんなヨーロッパでは、「電流首輪は危険!」とはっきり宣言されている国もあります。中でもドイツは世界でも犬と人との共同生活に関して意識が高い国で、こういった防止グッズに対しては法律で禁止令が出ています。

また、オランダのある大学では、動物科学研究として、この首輪を使った検証が行われたのだそうです。2匹の犬に対して、1匹は電流首輪を使って、もう1匹には首輪を使わないで、しつけのトレーニングをしました。結果、電流首輪を着けてトレーニングを受けた犬は、首輪なしでトレーニングを受けた犬よりも、ストレスに対してより敏感になってしまったそうです。

おまけに、人間のトレーナーとの関係性も、電気ショックを通しての関係性になってしまったため、正常で健康的なパートナーシップを築けなくなってしまったそうです。いわゆる人間不信になってしまったのかもしれません。これは犬にとっても人にとっても大変悲しいことですよね。

また、この検証以外でも、電流首輪を使ったことによってかえって犬の状態を悪くしてしまった症例はいくつも耳にします。精神的なショックを受け、自分で自分の前足を噛むようになったり、落ち着きがなくなりパニックを起こしやすくなったり、いつもビクビクして神経質になったり、すとから毛が抜けるようになってしまったり…。

いくら無駄吠えをなおしたいとはいえ、果たして本当にこのようなリスクを背負ってまで、このような防止グッズを使う必要があるのでしょうか。海外では危険だと認定されていても、日本ではまだまだそのような規制は作られにくいと思います。

人間のご家族の判断次第で、愛犬の人生は決まると言っても過言ではありません。無駄吠えによる辛い状況はあるかもしれませんが、どうにか他のやり方を模索して、このような方法は避けていただければ良いなと思います。

おわりに

無駄吠えの防止グッズについて、危険性やリスクの面に着目してお伝えしました。もちろん、ここでお伝えしたことはあくまで一例。犬によっては何ら症状が出ることなく過ごす子もいますし、防止グッズによって無駄吠えがなくなったという事実もあります。

けれど、無駄吠え防止グッズとは悲しい結果に繋がる可能性のある物なのだということをどうぞ忘れないでください。あなたと大切な家族である犬が、安全で健康的な方法で、穏やかな共同生活を送れますように。明るい未来を心から応援しています!


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